hroko's はてな diary

ゆるふわ気ままな日記です。はてなダイアリーからのインポートを引き継ぎます。

読書メーターのまとめ 5月分

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3228ページ
ナイス数:16ナイス

ベンスン殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集1) (創元推理文庫)ベンスン殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集1) (創元推理文庫)感想
殺人事件の捜査に関与した司法関係者でない主人公の独自視点・手法による謎解きを、同行した語り手が紹介するスタイルのミステリです。冒頭の人物紹介、事件の現場、関係者の証言、状況証拠等が逐次的に描写されていきます。作者は、読者の立場を主人公を事件現場に案内した検事と同じになることを意図しているようです。なんというか、主人公や語り手に感情移入しづらい一方で、司法機関の担当者として苛立っている検事の立場になってしまいます。こういうミステリの読書経験がなかったので、新鮮な感じがする作品でした。
読了日:5月2日 著者:S・S・ヴァン・ダイン
よろずお直し業 (徳間デュアル文庫)よろずお直し業 (徳間デュアル文庫)感想
戦場で瀕死になった男が、記憶と引き換えに、「任意の対象の時間を戻す能力」を持って蘇生し、以来、毎日、自分の体を負傷する前の時間に戻すことで生き続け、この能力で様々な物を修復・復旧しながら旅をする連作短編です。センチメンタルでちょっと良い話だけなので、なんというか、ポカポカした気分になります。善意を信じてみるのも悪くない、そんなお話でした。
読了日:5月4日 著者:草上 仁
私本太平記(一) (吉川英治歴史時代文庫)私本太平記(一) (吉川英治歴史時代文庫)感想
とても読みやすく、一気に読んでしまいました。おおよその展開を読者が知っている実在の人物が主人公の歴史小説ですから、作者の演出といいますか、場面の作り方、人物の台詞などを楽しむという読みかたをしました。第1巻なので、時代背景と人間関係の伏線が少しずつ書かれています。藤夜叉との出会いと別れが一つの区切りになっていて、続巻が楽しみです。
読了日:5月5日 著者:吉川 英治
私本太平記(二) (吉川英治歴史時代文庫)私本太平記(二) (吉川英治歴史時代文庫)感想
正中の変から元弘の乱へ向かう時期です。道誉から高氏へはかりごと、登子との結婚と妖霊星の一件、覚一母子の上京と旅の途中の藤夜叉の関わりなどが語られながら、物語の時間はゆっくりと進みながら、戦乱の予兆を感じさせる内容でした。
読了日:5月6日 著者:吉川 英治
洞窟 (ハヤカワ文庫NV)洞窟 (ハヤカワ文庫NV)感想
削り取った石を喰らいながら性交し死んでいった少年と少女の全裸遺体が、天使の壁画が刻まれた洞窟で発見されて、しかも、その壁画の下には、塗り隠された別の絵が...南イタリアの洞窟住居が伝統的な(実在の町をモデルにした)架空の町に、調査のため訪れた人類学者の主人公の一人称で、洞窟で発見された遺体の事件、現地の人々の挿話がオカルトを思わせる緊張感で語られます。それは良いのですが、オカルトでもホラーでもミステリでもなく、ちょっと半端な感じがして残念です。
読了日:5月12日 著者:ジェイムズ スターツ
夜鳥 (創元推理文庫)夜鳥 (創元推理文庫)感想
言葉遣いや表現がやや古めの翻訳ですが、物語の時代に合ったものなっていると感じました。各話とも、数ページの作品ですが、そのなかで背景や登場人物の状況・感情を説明しながらストーリを語る良くできた物語です。人生や生活に疲れた人のお話が多く、暗い印象が残りましたが、ストーリーやテーマがまったく古くなっていない、普遍的で洞察を感じる短編集でした。
読了日:5月19日 著者:モーリス ルヴェル
魔界探偵冥王星O―ペインのP (メディアワークス文庫)魔界探偵冥王星O―ペインのP (メディアワークス文庫)感想
冥王星Oシリーズ」の世界設定を舞台に、「彼ら」の気まぐれで、痛覚と視覚を奪われた妹、妹の痛覚を移植され常人以上の痛覚を持つ姉、そんな姉妹が「彼ら」関連の事件を調査していく物語。スピンオフといった趣のライトノベルです。主人公の意外な正体や物語の構成など、工夫を凝らした作りになっています。
読了日:5月25日 著者:越前 魔太郎
魔界探偵冥王星O―トイボックスのT (メディアワークス文庫)魔界探偵冥王星O―トイボックスのT (メディアワークス文庫)感想
冥王星Oシリーズ」の世界設定を活用して、特異な状況を設定して、そのなかで、心理的な傾向を把握し、相手をこちらの意のままに行動するように誘導する、そういう駆け引きを描写しています。少しずつ明らかにされていく真相、最後の結末まで緊張感があります。そういう物語を、軽薄ともとれる一人称と会話で描く、意外な物語です。
読了日:5月25日 著者:越前 魔太郎
魔界探偵冥王星O―ウォーキングのW (電撃文庫)魔界探偵冥王星O―ウォーキングのW (電撃文庫)感想
小学生の頃、夜の外出はドキドキするものです。それを親には内緒でクラスメイトと、しかも、ニュースで観た隕石を探しに行くというシチュエーションが素敵です。そんな小学生の冒険をライトノベルとしてまとめた上で、さらにそのシチュエーションに「冥王星O」の設定を絡ませて、「冥王星Oが冥王星Oになる物語」として仕立て、シリーズの外伝として上手にまとめています。
読了日:5月25日 著者:越前 魔太郎

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