hroko's はてな diary

ゆるふわ気ままな日記です。はてなダイアリーからのインポートを引き継ぎます。

読書メーター 12月のまとめ

12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2913ページ
ナイス数:9ナイス

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅡ (ハヤカワ文庫JA)クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅡ (ハヤカワ文庫JA)
闘うことが当然の人生、戦死したら生まれ変わってまた戦士として生きる、そういう人生観が、いままで意識できなかった恐怖や他人の犠牲を知ることになり、しかも、文字どおりに、他人を喰うことが必須となった状況で、それでも闘い続け、他人の犠牲のうえに生きていく決断をするという物語。過酷な決断の果てに、夢見た楽園にたどり着けるのか?というゲーム版第1作のラストまでが小説になっています。死者の感情が世界を滅ぼしていくパニック映画みたいな描写や闘いしか知らない「修羅」の自我の発展が小説版の味わいです。
読了日:12月04日 著者:五代ゆう
クリスマス・テロル<invisible×inventor> (講談社文庫)クリスマス・テロル<invisible×inventor> (講談社文庫)
私小説、ただしミステリの密室トリックとして。著者が解説まで書いているので、この作品はそう解釈をしてもいいと思うのだけど…高校の受験を意識しながら、目立った目的意識もない中学生が衝動的に家出して、人口の少ない離島の、しがらみなかで衝動とは関係ない暮らしをしている人々と関わるなかで体験した不思議な状況。この体験を理解しに、もう一度、島に戻っていく主人公は、読んだ作品の意味を考える読者そのものかもしれず、読後の「これ、何ですか?」という疑問への回答は、自分が期待していることそのものなのでしょう。
読了日:12月10日 著者:佐藤 友哉
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅢ (ハヤカワ文庫JA)クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅢ (ハヤカワ文庫JA)
近未来、太陽に異常が発生し日照で動植物が結晶化する奇病が蔓延した世界で、奇病への対処、神との対話量子力学的な認識、コンピュータによるシミュレーションなど、単なるゲーム本編と小説版の説明でなく、SFとして楽しめる内容です。登場人物の感情や動機が語られていて、ゲーム版の2作目、小説版4巻以降の伏線にもなっているようで、続きが楽しみです。
読了日:12月11日 著者:五代ゆう
呪われた町 (上) (集英社文庫)呪われた町 (上) (集英社文庫)
アメリカ中部の小さな町、故郷に戻って、曰くのある館を素材に小説を書き始めた作家、時を同じくしてその館に住み着いた謎の人物という、よそ者と地域社会の関係や登場人物がよく書かれていて、リアリティを感じさせながら、そのなかに不吉な事件、違和感を紛れ込ませて緊張感を高めて、そして…土葬の習慣、キリスト教や教会との関わり、保安官、地域社会のあり方など、文化の違いを感じさせられるところもありますが、古典的な怪異への古典的な対応がとてもリアルに楽しめます。
読了日:12月11日 著者:スティーヴン・キング
アバタールチューナーⅣ (クォンタムデビルサーガ)アバタールチューナーⅣ (クォンタムデビルサーガ)
ゲーム版2作目の冒頭からです。高度に発達したAIが自我や感情を持って人間と向き合うとき、人間とは何か、生きるとは、生命の意味や価値、など、根本的な問題に直面する古典的なテーマを扱いつつ、レジスタンス活動、太陽の異常で生態系が崩壊しつつある現実のなかでの選択というSFを楽しめます。
読了日:12月18日 著者:五代 ゆう
呪われた町 (下) (集英社文庫)呪われた町 (下) (集英社文庫)
日が暮れるまでに決着をつけなければ、という緊張感のなか、だんだんと厳しくなっていく状況でも、他人を当てにせず、最後まで諦めない、そんなヒーロー的行動を普通の人が当然のように行うので、どんどん、引き込まれてしまいます。こういうのは、文化というか、国民性の違いかもしれません。(舞台が日本なら、違う展開になっているでしょう。国土の広さとかもありますし。)結末は、前巻のプロローグの意味とエピローグが信仰の意味や市民の義務などについての倫理的な問いかけを感じる物語です。
読了日:12月18日 著者:スティーヴン・キング
アバタールチューナーⅤ (クォンタムデビルサーガ)アバタールチューナーⅤ (クォンタムデビルサーガ)
太陽の異常で地球の生体系が崩壊していくなかで、人類はどのように生きているのか、対処手段としてのASURAやEGGなどのガジェットや設定、技術を使う人間の問題、仮想空間で成長した自我を持つAIと人間など様々なテーマを発散させずにまとめています。しっかりとしたSFでした。「クォンタムデビル」の意味も明確になって、ゲームに登場していた猫の意味も分かります。ちょっといい雰囲気の最終章が印象的です。
読了日:12月25日 著者:五代 ゆう
サイモン・アークの事件簿Ⅲ (創元推理文庫)サイモン・アークの事件簿Ⅲ (創元推理文庫)
オカルトな趣向を凝らした設定の事件を楽しめる短編集です。オカルトな説明に納得してしまいそうな不思議な事件を、論理的、科学的に解決していくミステリーが気持ちよいです。登場人物は神も悪魔も、オカルトな現象を信じていますが、それだけに、軽々とオカルトな説明を容認しないところが素敵です。巻末の解説でシリーズや作者のことが分かるのも嬉しいです。休暇のお供には悪くない本でした。
読了日:12月31日 著者:エドワード・D・ホック

2011年12月の読書メーターまとめ詳細
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