hroko's はてな diary

ゆるふわ気ままな日記です。はてなダイアリーからのインポートを引き継ぎます。

読書メーター 9月分のまとめ

2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:5454ページ
ナイス数:22ナイス

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)機龍警察(ハヤカワ文庫JA)感想
人が搭乗して操縦する人間型の作業機械、古今のアニメなどでお馴染みのガジェットが犯罪に使用され、対応するために警察に専用の組織が設置された、という状況での、警察内部の組織的・個人的軋轢や葛藤、テロや犯罪に対抗するために、元傭兵や犯罪者を警察に雇用することなどを背景にした物語です。見せ場となる戦闘シーンやメンテナンス担当の技術者などのお約束も楽しめます。警察組織でありながら、「敵」という言葉で相手を認識していること、その「敵」の影を感じさせるビッグプロローグとなっています。
読了日:9月9日 著者:月村 了衛
魔界都市ブルース 狂絵師サガン (ノン・ノベル)魔界都市ブルース 狂絵師サガン (ノン・ノベル)感想
主人公は絶対、そのお約束がある以上、依頼者やその関係者の事情や言動にどれだけ感情移入できるのかが、このシリーズの面白さにつながるのですが、今回は、絵画への情熱、それも狂気とも言える執念で、この世のものならぬ美形を描こうとする、ということ、そして、絵画に描かれた人物が魂を奪われるという怪談めいた設定を楽しめるほか、本シリーズのお約束もきっちりと楽しめました。
読了日:9月9日 著者:菊地秀行
吸血鬼ハンター25 D-黄金魔(上) (文庫)吸血鬼ハンター25 D-黄金魔(上) (文庫)感想
シリーズ第1巻から言及されている「神祖」を直接追う、そんな緊張感のあるシチュエーションです。ですが、依頼人が貴族あいての金貸し、というか借金取りだったり、その借金取りの道中で、話がなかなか進みません。Dの活躍を楽しめる反面、この著者は、[下]1 みたいなことをやるので、焦らずに楽しむ必要があります。吸血鬼ハンターシリーズなので、特に不満なく楽しめました。
読了日:9月9日 著者:菊地秀行
ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫)ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫)感想
時代や立場の違いから、(フランスの貴族である)著者が本当に言いたかったことを理解できなくても、現代に生きる私たちなりの解釈で、自分なりに理解していけば、それで十分に楽しめるし、役立つ「箴言」です。気に入ったものは手帳やノートに書きとめるなどして、本そのものは、たまにパラパラと読み返したいです。そういう用途のために、ぜひ購入したい一冊です。
読了日:9月9日 著者:ラ・ロシュフコー
D機関情報 (講談社文庫 に 1-3)D機関情報 (講談社文庫 に 1-3)感想
太平洋戦争末期、特命でスイスに赴任した海軍中佐が、しだいに、外交的な密約、諜報などに巻き込まれていく様子が淡々と描かれています。史実どおりの展開の裏側で、個人的な理想や理由で戦う諜報員の姿や、国のためにどうすべきかを悩む主人公など、人のドラマが展開していて、緊張感とともに楽しめました。
読了日:9月15日 著者:西村 京太郎
コミック 冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)コミック 冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)感想
高校生のグループが学校に閉じ込められて、という定番のシチュエーションで、一人ずつ消えていくという恐怖のなか脱出方法を探りながら、登場人物一人一人が、自分自身と向き合っていく物語が語れるます。コミックス版なので、手軽に楽しめました。
読了日:9月16日 著者:新川 直司
コミック 冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)コミック 冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)感想
学校の校舎に閉じ込められた高校生のグループの脱出ものです。上巻の伏線が回収されて、ひととおり、謎は解決します。自分自身と向き合うのは難しくて、でも、目をそらさずにという感じです。コミックスという表現では、ストーリーを手軽に楽しめますが、こういうメッセージが軽くなってしまうような気もします。
読了日:9月16日 著者:新川 直司
機龍警察 自爆条項 (上) (ハヤカワ文庫JA)機龍警察 自爆条項 (上) (ハヤカワ文庫JA)感想
前作の続きで、警察組織内部の軋轢、警察と外務省、経産省との関係など、駆け引きや陰謀の舞台が広がり、また、機龍のパイロットの過去についても、独立た章を割り当てて深みを持たせています。描写される範囲が広まった反面、登場するガジェットの描写が物足りない感じですが、ストーリーは面白く、楽しめました。
読了日:9月16日 著者:月村 了衛
機龍警察 自爆条項 (下) (ハヤカワ文庫JA)機龍警察 自爆条項 (下) (ハヤカワ文庫JA)感想
下巻の後半は機龍による戦闘シーンで、前作同様に地下鉄や高速道路、高層ビルが密集する市街地をうまく使っています。登場人物同士の会話も、刑事ドラマ風なものや戦争ドラマ風なもの、両方を楽しめます。また、前作で触れられていた「敵」についても、少しずつ具体的になってきて、続編が楽しみ、という感じです。
読了日:9月16日 著者:月村 了衛
くますけと一緒に (中公文庫)くますけと一緒に (中公文庫)感想
ぬいぐるみに依存していた小学校4年の女の子が現実に適応していく... そういう無難な解釈をするか、それともぬいぐるみにべつの解釈をするかで趣がかわるお話です。読みやすく、あっという間に読み終えてしまいました。
読了日:9月16日 著者:新井 素子
第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
未来の荒廃した世界が舞台の短編集。各作品は別の世界・未来を扱っていて、水不足や食料不足、人口増加などの問題が顕著になって、そんな社会で暮らす中流以下の普通の人々の物語。現在のさまざまな問題は、科学や技術といったSF的な手法では解決できなくて、それでもそれなりの問題解決と適応を示しているところが、作品集の面白さです。科学や技術の発展で問題が解決できるという夢がないと、科学や技術って停滞してしまうような気がするのは、もう、本当に時代遅れの価値観なのかもしれません。
読了日:9月17日 著者:パオロ・バチガルピ
トリポッド 1 襲来 (ハヤカワ文庫 SF)トリポッド 1 襲来 (ハヤカワ文庫 SF)感想
正体不明な地球外のロボットの侵略と、そんな事態へ対応するイギリスの一家のお話です。スイスの親類を頼って、国外へ移動するのですが、こういう侵略戦争への対応は、欧州の常識なのでしょうが、日本では信じられないくらい、自立し国に頼らず自分で判断して行動しています。侵略者は「洗脳」のような手法で平和主義のような理想的な市民に全ての人を均一かしていきます。「自分が自分らしくあるべきだ」という主人公の少年は、やがてレジスタンスを組織して、生涯かけて抵抗していく、という全4巻のビッグプロローグになっています。
読了日:9月23日 著者:ジョン・クリストファー
ゴースト・ハント (創元推理文庫)ゴースト・ハント (創元推理文庫)感想
ほとんどの作品は、イギリスの由緒あるお屋敷が舞台です。古くて、部屋はいくつもあって、電気などが普及していない時代の物語。そういう屋敷などの怪奇現象といいますか「怪談」を集めたいろいろな短編を楽しめます。ただ、怪奇現象の原因は特に説明されないので、不気味さや不吉さを味わうことができます。(封印された旧神だとか、のお約束であるにしても、)すっきりした説明を好む人には、物足りないかもしれません。
読了日:9月23日 著者:H・R・ウェイクフィールド
サムサーラ・ジャンクション (ハヤカワ文庫SF)サムサーラ・ジャンクション (ハヤカワ文庫SF)感想
ナノテクとAIが発達した近未来、国連はあるけど民族対立や宗教対立が続いて、非武装でテクノロジーを限定した生活をすることを条件に難民を受け入れるスペースコロニーがあって... なんとなく、ニューロマンサー3部作を連想する宗教的なAIの活躍、AIによる知性をもった道具、ナノテクで傷を癒したり人体を改変したり、そんなガジェット満載のなか、バチカン内の陰謀と利用された殺し屋のアクションシーンで、物語が一気に展開して、息切れしそうな感じで一気に読み終えてしまう、エンターテイメントな読書が楽しめました。
読了日:9月23日 著者:ジョン・コートニー グリムウッド
ラッカー奇想博覧会 (ハヤカワ文庫SF)ラッカー奇想博覧会 (ハヤカワ文庫SF)感想
慣性のない状態が実現したら、アーケードゲームがどこかの星の代理戦争だったら、多次元空間への移動が可能だったら、というSFの様々なアイデアを楽しめる短編集です。SFって、こういうものだったよね、というレトロな楽しさがあります。また、作者が日本を訪れたさいの日記は特に興味深いものでした。1990年5月、この頃の東京を米国のSF作家がみるとこういう表現ができるんだ、っていう。地下鉄、東京タワー、高架下の屋台など、なんだか、ニューロマンサーの冒頭みたいな。
読了日:9月30日 著者:ルーディ ラッカー

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