hroko's はてな diary

ゆるふわ気ままな日記です。はてなダイアリーからのインポートを引き継ぎます。

読書メーターのまとめ 7月分

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4732ページ
ナイス数:23ナイス

金田一耕助ファイル13 三つ首塔 (角川文庫)金田一耕助ファイル13 三つ首塔 (角川文庫)感想
ヒロインが書いた回想というスタイルで、同様のスタイルの『夜歩く』にまして、金田一耕助は完全な脇役です。『女王蜂』のようなヒロインに対する後見人の愛情、『犬神家の一族』のような相続人の入れ替わり、表題の「三つ首塔」の崩壊など、シリーズを通して登場するモチーフで構成されています。金田一耕助ものというより、サスペンスものとして楽しむ内容でした。女性が書いた回想という設定ですが「女流」な文体ないのは残念です。現在なら、女子高生か女子大生がヒロインのライトノベルでしょうか。そういう位置づけなら、悪くないと思います。
読了日:7月5日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル12 悪魔の手毬唄 (角川文庫)金田一耕助ファイル12 悪魔の手毬唄 (角川文庫)感想
『獄門島』と同様の連続「見立て殺人」、偶然、その現場近くに居合わせた金田一耕助の活躍...見聞きする内容を読者も共有できる推理小説のスタイルを楽しめます。戦前・戦後という混乱期を利用した設定、戦後の復興による社会的な変化、『獄門島』で登場した磯川警部との共同捜査など、シリーズものとしての楽しみもあります。『犬神家の一族』のような母親の愛情による殺人事件、ただし本作は、遺産相続など、直接的な欲望がないぶん、より感傷的と言いますか、切ないです。
読了日:7月5日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル16 悪魔の百唇譜 (角川文庫)金田一耕助ファイル16 悪魔の百唇譜 (角川文庫)感想
自動車を使った移動をもとにしたアリバイ、犯行現場の移動など、庶民への自動車の普及とか、普通にカメラを持ち歩いたり、写真が脅迫のネタになるなど、時代の変化を感じる作品でした。また、金田一耕助のアパートでの朝食の描写があり、私生活や好みが描写されない主人公の一面が見られる作品です。この描写のため、なんとなくハードボイルド風味を感じました。
読了日:7月12日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル17 仮面舞踏会 (角川文庫)金田一耕助ファイル17 仮面舞踏会 (角川文庫)感想
動機が不明の事故死のような事件が続くなか、離婚/再婚を繰り返す有名女優、そんな女優の次の相手とされる富豪とその一族、毎年、同じ時期に軽井沢を訪れる人々の人間関係、いつもの「戦争、戦後で人物が入れ替わる」という仕掛けを意外な形で味わえます。金田一耕助の以外の人物の視点からの描写があったりして、シリーズの他作とは違った雰囲気があります。サスペンス風のストーリーを楽しめました。ただ、エピローグの「仮面舞踏会」についての蛇足のような言及と、ここまで読み進めなければ意味が分からない表題が残念です。
読了日:7月12日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル 15 悪魔の寵児 (角川文庫)金田一耕助ファイル 15 悪魔の寵児 (角川文庫)感想
異常性やエロ/グロな犯行現場、梅雨時のジットリトした感じなどが、陰惨な事件の雰囲気になっています。ひととおりの事件を、登場人物の新聞記者とと同じ視点・情報で描写しているので、事件の謎解きも楽しめます。ただ、共犯となる人物の異常な心理や性向に依存しすぎな気もします。犯人を罠にかけるという、ちょっと変わった結末など、シリーズの他作とは違う趣があります。
読了日:7月12日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル 14 七つの仮面 (角川文庫)金田一耕助ファイル 14 七つの仮面 (角川文庫)感想
事件の背景や密室のトリックなどの工夫を試しているような...そういう雰囲気の短編集なので、事件は金田一耕助によってアッサリと解決されていきます。事件を解決しているのに、名探偵の活躍という感じがしない不思議な短編集です。なんとなく、「習作」のような感じの作品ばかりです。
読了日:7月12日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル 19 悪霊島(上) (角川文庫)金田一耕助ファイル 19 悪霊島(上) (角川文庫)感想
Kindle 版で再読です。 シリーズ全体を通して読んでくると、昭和42年のこのエピソードが、極めてよくできていると感じます。 磯川警部の不可解な行動が伏線になるなど、再読してみると味わい深い仕上がりだと思います。
読了日:7月19日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル 19 悪霊島(下) (角川文庫)金田一耕助ファイル 19 悪霊島(下) (角川文庫)感想
Kindle 版で再読 シリーズ全体を通して読んでくると、昭和42年のこのエピソードが、極めてよくできていると感じます。シリーズ他作のモチーフを(昭和42年代風に)再構成した感じですが、『八つ墓村』を思わせる洞窟のシーンの他、短編のモチーフを織り交ぜつつ、磯川警部の家族の事情までも感傷的に取り入れて、サービスたっぷりに仕上げた佳作です。休日に一気に読み終えてしまいました。
読了日:7月19日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(上): 21 (角川文庫)金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(上): 21 (角川文庫)感想
表紙のサブタイトルの横に小さく「金田一耕助最後の事件」と書かれていますが、そういう雰囲気はあまりなく、普通に昭和28年の事件が語られていきます。ただ、シリーズの事件への言及など、総集編という感じはあります。「70年代に、『金田一耕助』シリーズを成立させるとしたら、どうすべきか」を模索したかのような作品になっていて、東京都港区での、70年代で違和感のない事件のほどほどのエロ・グロな展開となっています。結末は下巻へ、という展開ですが、緊張感を維持していて楽しめました。
読了日:7月21日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(下): 22 (角川文庫)金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(下): 22 (角川文庫)感想
「70年代に、『金田一耕助』シリーズを成立させるとしたら、どうすべきか」を具現化させた作品です。昭和46年、定年になった等々力警部が開設した私立探偵事務所に訪れた金田一耕助など、という70年代の雰囲気を感じさせる風景が自然に書かれています。70年代的な若者の言動、上巻にくらべると、「普通のミステリの殺人事件現場」など、時代の変化を反映した内容のなかで、終戦直後の事件の真相が際立っていくという見事な展開を楽しめました。ラストの金田一の唐突な旅立ちや、本犯行の一部の謎が残されたままなのは、ちょっと残念です。
読了日:7月21日 著者:横溝正史
金田一耕助ファイル18 白と黒 (角川文庫)金田一耕助ファイル18 白と黒 (角川文庫)感想
団地を舞台にした人間関係と戦中・戦後の人間模様とが織りなす犯罪の動機、時代に合わせた犯行現場など、60年代に金田一耕助シリーズを描くとしたら、どういう設定なるのか、そんな感じの作品です。小説と言いますか物語として上手にまとまっていて、複数の登場人物の視点から、事件の経緯、場面が語られていくなど、少し変わった雰囲気も楽しめました。
読了日:7月21日 著者:横溝正史
虚空の遺産 (1981年) (ハヤカワ文庫―SF)虚空の遺産 (1981年) (ハヤカワ文庫―SF)感想
他の惑星への侵略を武力によってでも禁じる異性種族、その種族に恒星間旅行技術を破壊された異星人の遺跡が月面で発見されて... 冷戦の対立のため、宇宙開発競争を動機にする元軍人の強引なリーダーシップ、メンバーの科学者・技術者の反感、遺跡を残した星への旅や冒険など、ステレオタイプが目立ちます。文庫で300頁足らずの分量なので、物語は、ご都合主義的に手早く展開していきます。ちょっと物足りない感じですが、宇宙-星々の世界と冒険への憧れ、遺跡で発見した歌声への感傷などを、気軽に楽しめる古典的なスペースオペラです。
読了日:7月26日 著者:エドモンド・ハミルトン

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